分析心理学 | 忘れられ、失われたものが帰ってくる。はたして歓呼をもって迎えられるのか、それとも再び無意識の底に沈潜する運命をたどるのか。アクティブ・イマジネーションとは、無意識から立ち現れてくるさまざまなイメージを相手に、自我が直接的に接触を試みる技法をいう。たとえば、意識に浮かび上がってきたある人のイメージに話しかけてみて、相手の反応があったら、またこちらから何かを働きかけてみる……。集合的無意識、元型といった概念を打ち立てたユングの根幹ともいうべき技法、その誕生と展開の秘密に迫る。(裏表紙より) 能動的想像法を専門的に扱った書物。他に専門的に扱っている日本語の市販されている文献はハナーの『アクティブ・イマジネーション』と、シュピーゲルマンの『能動的想像法』のみで、両書籍の入門書として本書は適切だろう。 内容に関しては、一章と二章でその歴史と背景を、三章と四章で導入と技法について、五章から七章までは無意識のロジックについて、八章から十章はアクティブ・イマジネーションの発展に重要な意味を持つクリスティアナにまつわる話が続く。 正直、クリスティアナの個人的な話が続く部分には辟易。著者にとっては重要人物を深く探ることは臨床家として当然のことなのだろうが、どうでもいいことやただのゴシップ的な部分が含まれている気もする。 老松克博は正式なユング派分析家。河合隼雄の文章と比べて気取っている分、文章の方に意識がいってしまいがちかも。ただ、内容的には必読の名に値するのでは。 |
『アクティヴ・イマジネーション』 ユング派最強の技法の誕生と展開 老松克博 [著] 誠信書房 ISBN4-414-40347-2 2,200円 223頁 2000年4月25日初版発行 |